自作のおもちゃ

こんばんわ!

中澤やすゆきです!

年の瀬になり中澤家も新しい年を迎える準備が始まり、次男と三男はモミの木に装飾したイルミネーションを片付けてくれました。

子供達にとって中澤家のイルミネーションは、クリスマスと言うイベントに浮かれている理由もありますが、サンクロースがきんちんと来てくれる為の目印にもなっています。

三男はどうしても欲しいおもちゃがあるのですが、両親にお願いしても買ってもらえませんので、サンタさんに手紙を書いてお願いをしていました。

6歳の子供にしては上手に書けていると思われるかもしれませんが、この文字は書道8段の妻が三男に代わって書いたものです。しかも、6歳の書体に合わせている訳ではなく通常仕様です。

達筆とはこのことだと思いながら手紙を読んでみると、三男の想いが書き込まれています。三男は、このおもちゃが欲しくて欲しくてたまりませんでした。段ボールとペットボトルのキャップを使って自分で作っていたくらいです。

自作のおもちゃは、説明しなければこれが何なのかわかりませんし、実際に本物と同じように遊ぶことはできません。でもこのおもちゃは、絶対に欲しいという想いがないと作れませんし、その想いがあるからこそ素敵に見えるのだと思います。

強い想いというものは、きちんと相手に伝わりますので、三男の気持ちもサンタさんに届いたようで、クリスマスには欲しかったおもちゃを貰えて朝から大喜びしていました。

12月の初めに倉渕町でお引き渡しをさせていただきました。こちらのお客様は、農業をされる為に20年前、倉渕に移住をしてきてくださいましたご夫婦で、僕がご主人と出会ったのは地元消防団です。

僕より5つ年上なのですが、いつも優しく笑っていて、目線を合わせて接してくださる先輩でした。数年前に新築を検討されている時に土地探しを一緒にさせていただいていたのですが、なかなか良い土地が見つからずにいました。

それから少ししてご主人が体調を崩されて、消防団も辞めざるを得ない状況になりました。同じ地域に住んでいるので車ですれ違うことはありましたが、少しずつ顔を合わせる機会も減っていきました。

「最近見かけないなぁ」

と思っていたところ、ご主人から久々にご連絡をいただきました。内容は倉渕町で中古の平屋を買ったからリフォームをお願いしたいということでした。

突然のお話に驚きましたが、お伺いすると奥様が対応してくださいました。連絡を下さったのはご主人だったので不思議に思っていると、奥の部屋で呼吸器を付けているご主人がいらっしゃいました。

少し苦しそうでしたが、以前と変わらずに素敵な笑顔で迎えてくださり、奥様と3人でお打ち合わせをさせていただきました。立地と梅雨時期がかさなり当時住んでいた場所がご主人の体調を大きく左右することはよくわかりました。

ご主人は自分で色々なものをつくるのが大好きな方です。木工道具もたくさん持っていて、洗面台やトイレの手洗いカウンターになる板は、途中まで作ってありました。

「後は中澤くん頼むよ。もう道具も使えないから何か使えるものあったらあげるからね」

とおっしゃっていたので、

「何を言ってるんですか。僕は大工工事しかしないですから、早く良くなって家具は自分で作ってくださいね」

とお伝えしました。

状況を考えれば1日でも早く引っ越しをした方が良いと思い、他のお客様の工事予定もありましたが、事情を説明させていただき、社内で情報も共有して、こちらのお客様の工事を急遽させていただくことにしました。

どうにか、お風呂とトイレを直してエアコンを付け生活出来る環境に工事を進めようとしていた時に、ご主人の容態が変わり入院されることになりました。

奥様から2週間くらいが山だと聞かされた時は、頭の中が真っ白になりましたが、早く帰ってきてもらえるように工事を進めることだけを考えていました。すると奥様から、

「山を越えて少しずつ回復してるんですよ。本当にすごく頑張っているんですよ。」

と嬉しい報告をいただいたのですが、それから一月後にご主人は亡くなられてしまいました。

僕がもっと早く判断して工事を進めていたら、引っ越しが出来て状況は変わっていたのではないかと自分の判断と行動を悔やんだのが本音です。細かなことを考えずに進んでいたらお客様は新居で健康的に過ごせたのかもしれません。

奥様はいつでも、どんな時でも僕達に笑顔で接してくださいました。入院中もご主人に

「中澤建設さんが工事を進めてくれているから、早く元気になって素敵なおうちで暮らそうね」

と伝え続けてくれたそうです。2週間の命が1か月半に伸びたのも家づくりが励みになったとお伝えくださいました。

奥様ご自身が、受け入れたくない現実を元気に乗り越えられたのも、中澤建設との家づくりがあったからだということもお伝えいただきました。

工事の途中で、ご主人とのお別れがあり、奥様の心情を考えた時に工事を進めるか止めるべきかの判断を悩みました。中澤建設ができること、中澤やすゆきができることは何かと考えた時に思い浮かんだことは、家づくりしかありませんでした。

お2人が念願だった新居をつくることが中澤建設に唯一できることなのです。本当はご自身でつくろうと思っていた洗面台もトイレの手洗いも奥様に記憶を辿っていただきながらつくらせていただきました。

「ご主人はこういうの好きなはずだよな〜」

と思いながら、想いのままに工事を進めさせていただきました。その度に奥様も喜んでくださっていたことが僕にとっても大きな喜びでした。  

4年前に先輩工務店の方々と一緒に食事をした時に、

「中澤さんはなんで建築をやっているの?」

と聞かれたことがありました。その時に僕は即答できず、少し考えてから

「家づくりが好きだから」

と答えたことがあります。

別にその回答が悪いとは思いませんが、僕はとても恥ずかしい思いでした。なぜならば、本質の無い、中身の無い回答だと自分でわかっていたからです。その日から、「なぜ建築をしているのか」という質問が1日たりとも僕の頭から離れたことはありませんでした。

来る日も来る日も考えて、何度考えてもわからずに、答えが出なかったのですが、お客様との家づくりを振り返ることで気付くことができたのです。

気付かせていだいた自分にとっての建築への想いをしっかりと胸にしまい、これからも自分にとって大切なヒトトキを過ごしていきたいと思っています。

最後になりしたが今年も1年、中澤ブログ生活にお付き合いくださりありがとうございました。

これからも毎週日曜日の投稿を続けていきたいと思いますので、是非ともよろしくお願いいたします!

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中澤建設は群馬県高崎市で高気密高断熱、許容応力度計算による耐震等級3を基本に、新築、リフォーム、リノベーション、店舗等をトータルで設計施工しています。山に囲まれた倉渕町で自然乾燥木材を使った地球環境に優しい安心安全な家づくりをしている創業50年の大工工務店です。

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