学校の先生

こんばんわ!

中澤やすゆきです!

仕事の内容や周辺の環境にもよりますが、BGMとしてラジオを聴きながら作業をしています。状況によっては耳にも頭にも全く入ってきませんが、集中して行っている業務の中でも、ラジオのお陰でリラックスできるように感じます。

先日も作業場で加工を行なっている時に、ラジオを聴いていました。この日は休日だったのでホリデースペシャルの特番をやっており”教育”がテーマになっていました。

集中したり、リラックスしたりの繰り返しだったので情報が飛び飛びになってしまいますが、日本の教育は世界的にもめずらしく、ひとつの社会になっているという話題になっていました。

クラスや教室があって1人1人が役割を持つことで責任感を持て、行事があることでチーム力や企画性も養えるそうです。学校の中を生徒が自分達の手で掃除しているから街を綺麗に保てるような意識になること、給食に関しても栄養バランスがしっかりと考えられている食育に繋がっているようです。

多数の生徒がいる学校だけでなく、僕の住む倉渕町のように子どもが少数だったり、フリースクールもありますので、取り組みやカタチ、考え方は様々だとは思いますが、視点を変えると見え方が大きく変わることを感じました。

そしてどんな学校でも、子ども達にとって先生は無くてはならないものです。勉強だけでなく、あいさつや人との接し方、大人になる為の基本になることを教えてもらえることは、僕のような何も教えられない親の立場として本当に有難い存在です。

昔から好きなテレビドラマでも学園ものはよく見ていました。オールジャンルいけるタイプなので恋愛ものも見ていましたが、大好きなのは先生と生徒のヒューマンドラマです。子どもたちの悩みに、本気で熱くぶつかっていく先生の感じが、僕はたまらなく大好きでした。

僕にとってそんな憧れの存在である先生になれるお話をいただけたのが昨年末のことです。中澤家の次男がお世話になっている倉渕小学校では、学年PTAという行事が全学年で1年に1度行われます。これは子ども達と保護者が一緒になって取り組む行事で、僕が子どもの頃にもありました。

今年6年で小学校生活が最後になる次男の学年では、働くことを楽しく実体験できる時間にして、子ども達に思い出を残してあげたいという想いを学年委員長さんからお伺いしました。保護者の中に蕎麦職人さんがいらっしゃるということで蕎麦打ち体験と、僕が家づくりをしている大工であることから木を使った時計づくりを教えてほしいとお話をいただきました。

これほど嬉しいお話をお断りする理由はありませんのでお受けすることにしました。とは言えです。とは言え、中澤建設は家づくりのプロではありますが、時計づくりのプロではありません。学校からいただいた情報ですと15人の生徒さんが時計づくりを選んでくれたようなので、超臨時新任の中澤先生には荷が重いように感じます。

時計づくりの経験は過去に2回ほどあります。中澤建設のヒトトキロゴを実際に形にした

“ヒトトキ時計”

と大切なお仲間の皆さんとお仲間のお祝いにつくった”時の方舟”

の2つです。時計づくりを思い出す為に写真を探しながら当時の記憶を辿っていくと、過去の経験は必ず生きてくる時がくることを改めて気付くことになりました。

生徒さんとつくる時計の板は、中澤建設の倉庫で自然乾燥した倉渕産の木材を使うことにしました。木材を製材する時に出る端材で、何に使うといった目的はないのですが、倉庫に立てかけて乾燥していたものです。

厚みも大きさも今回の時計づくりにマッチしていますので、この日の為に出番を待っていたようにおもえます。日中はお客様の家づくりがありますので、父親に協力してもらいながら時計づくり作業は、夜の業務時間外に行いました。時計づくりはプロではない上に、材料も端材で、準備も業務時間外であれば、僕の方も遠慮なく材料をご提供できるということです。

板を加工しながら、本番の授業での作業時間の割り振りやどんな風に時計づくりを進行するのかシミュレーションしてみました。「このタイミングでボケをいれて笑いを取ろう」とか、「ここは保護者の方にも手伝ってもらおう」など、初めての試みに心が踊ります。

そして時計づくりの本番では、まず講師としての紹介をしていただきました。予定していた自己紹介のボケが失笑ではありましたが、準備も間に合い無事にスタートすることができました。

同じ6年生の保護者の方に手伝っていただけることがわかり一安心するなかで、今日つくる時計のサンプルはないですかとお話がありました。生徒さんも保護者の方も初めて行う時計づくりにサンプルがあった方がわかりやすいとは思っていましたが、ここには僕の想いもあってサンプルはあえてつくりませんでした。

用意された板があって、時計の針もみんな同じもので、完成されたものを僕がつくってしまったら、サンプルをモデルにつくってしまい、15人がつくる15個の時計が似たような仕上がりになってしまうと思ったからです。

頭が柔らかくて、想像力豊かな子ども達には、たくさん考えて欲しかったですし、どんな時計が出来ようとも想いのままをカタチにして欲しかったのです。

そんな時計づくりの始まりは、板と出会うところからです。15枚の板はカタチも樹種も様々なので生徒さんに好みのものを選んでもらうのも1つの手段ではありますが、ここはドラマチックに運命的に出会ってもらいました。

時計本体の箱と紙に包まれた板にそれぞれ番号を書いておき、先に時計本体の箱をとってから板と出会ってもらうフィーリングカップル方式です。人と人が繋がる縁と同じように人と木が繋がることもご縁であることを感じて欲しかったのです。

そしてここから先の作業は、とにかくオリジナルです。インデックスと呼ばれる1〜12の時間を記す場所のデザインを考えてもらいます。本当は、外に出て枝や木の実、花などを見つけてきてもらいたかったのですが、時間の都合と季節が冬という事情がありましたので断念して僕の方で様子することにしました。

持って来たのは、もう少しで花が咲くつぼみをもった梅の枝や、校庭にある桜の木の枝、知り合いの皮職人さんからいただいた皮の端材や麻の紐です。

その材料を時計の針が動いている時に時間がわかるように取り付けてもらいます。この取付けもグルーガンでやればすぐに固定できますが、せっかく自然素材で時計づくりをしているので電気を使わずにボンドと筆を使った自然乾燥方法で行いました。

仕上がった時計を見て、皆さんの発想は僕の縮こまった脳みそではとても考えられないもので本当に豊かで驚きました。僕がサンプルをつくらなかった心配事は勘違いで、僕のサンプルがあったとしても、それを大きく上回るアイデアを倉渕小の皆さんは持っているのです。

ブログでは色々と想いを綴っており、そのことを実際に伝えながら時計づくりを進行したかったのですが、そんな余裕は一切ありませんでした。それどころか時間内に終わらせることばかりに集中してしまい、改めて教育のプロである学校の先生の凄さを感じることができました。

明日から、高崎市下佐野町で新築工事の建て方が始まります。僕の仕事はお客様の家づくりをすることです。僕が子ども達に伝えられることがあるとすれば、家づくりをしている姿そのものなのだと思います。そのことを先生の経験をさせていただけたことで、気付かせていただきました。

本当に貴重な時間をありがとうございました。

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中澤建設は群馬県高崎市で高気密高断熱、許容応力度計算による耐震等級3を基本に、新築、リフォーム、リノベーション、店舗等をトータルで設計施工しています。山に囲まれた倉渕町で自然乾燥木材を使った地球環境に優しい安心安全な家づくりをしている創業50年の大工工務店です。

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