大工である理由

こんばんわ!

中澤やすゆきです!

大工

僕は中澤建設で様々な役割がありますが、その中の1つが大工です。会社の代表者になりますので、大工としてではなく経営や管理だけを行なった方がいいと多くの方々にアドバイスをもらったこともありました。

しかし僕にとっての家づくりを考えた時に、自分が大工をやらないという選択は全く考えられませんでした。その理由が大きく分ければ2つあるのですが、その1つが自分で考えたモノを自分の手でつくることが好きだからです。

頭の中で出来上がるものをイメージして、どのように製作するか、材料は何を使うのかと考えることが僕の楽しみです。全てがイメージ通りにいく訳もなく、壁にぶつかり、人に助けてもらい、軌道修正しながら完成に向かいますが、それこそがモノづくりの醍醐味だと思っています。

階段づくり

高崎市倉渕町の新築工事では、先週から階段製作が始まりました。内装下地の石膏ボードを施工する前に階段をつくることもありますが、こちらの建物では、階段が外周に面しています。

建物の気密性能と石膏ボードの施工性、経年変化による建物の動きを考えた時に、先行して石膏ボードを施工した方がよいと判断して、階段を後の工事にしました。

1階のリビングと2階の多目的スペースという家族が集まる場所が2つあります。その2つの空間を繋げる役割の階段は、いつでも見てもらえる存在になるのです。

なので登り降りのしやすさや安全面を考慮することは大前提ですが、空間のバランスを考えた美しさも大切になってきます。使いやすさと美しさが揃った機能美こそ、ものづくりの真髄なのです。

中澤の会議

と言葉では良いことが言えますが、決して簡単なことではありません。何日もイメージを膨らませますが、中々納得のいく計画に至りません。ああやってみよう、こうやってみようと小さな中澤が頭の中で話し合いますが、会議は難航します。

樹種の選定も重要で、木材を自然乾燥させている倉庫に行っては木材とのにらめっこの繰り返しです。

大事な内容なだけに緊張感もありますが、この時間も家づくりの面白さだと思っています。

イメージ出来た階段

考えがまとまったところで、CADを使って簡単な図面を描いて納まりを確認します。いざ階段づくりといきたいところですが、まだ始めることが出来ません。木材倉庫の長とも言える父親に木材を出してもらう必要があるのです。何十年と自然乾燥をしている木材のことは、やはり父親が1番わかっています。今回階段にはケヤキが良いと思い、用途に適した木材を出してもらうことにしました。

その間に僕は階段づくりに欠かせない原寸図面を描きます。CADを使って細かな寸法が出たとしても数字だけで階段はつくれません。原寸図面があることによってCADでは気付けなかったことを見つけられますし、実際の加工にも活躍をしてきます。

父親が用意してくれたケヤキの板を使いたい寸法に削り、その木材に加工するための墨をつけます。間違えないように集中する為、息をのむような時間になりますが、同時に気持ちも高まります。

階段加工

墨付けが終われば加工を始めるのですが、鑿(ノミ)や鉋(カンナ)の刃物が切れなくては仕事になりません。墨の通りに加工を行い、木の表面を綺麗に仕上げることも大工としての見せ場になのです。

下ごしらえまでは作業場で行い、その後は現場での取り付けです。納める順番を間違えれば組み上がらない階段はまるで知恵の輪に感じてしまいます。こういう時も経験豊富な原田さんは頼れる存在です。チカラと知恵を貸してもらえることによって思い描いていた以上の階段の完成に向けて進めることが出来るのです。

完成に近づきながら、変化していく階段の様子を見られることも楽しみですが、何もないところからはじまり、1つ1つをクリアしながらつくりあげていく過程に楽しさがあるのだと思っています。

それがものづくりの楽しさだということを昨日開催しましたイベントで感じることができました。それが高崎市下佐野町の新築現場で行った”人と木と生きる会”というイベントです。

初のワークショップ

このイベントは、僕達夫婦のことをより良く知ってもらうことが、中澤建設の家づくりにとって大切だとお客様からご提案をいただくことで企画されました。イベントのチラシも全てお客様がつくってくださり、宣伝にも大きなチカラとなってくださいました。

そのお陰で4名のお客様が参加してくださいました。このイベントの内容は、お料理をのせる木製プレートづくりを行うワークショップです。僕の方で表面だけ仕上げた板を用意させていただき、残りの作業は全てお客様に行っていただきます。

4名の参加者

初めて使う電動工具に緊張されている様子に心配をしましたが、その心配は直ぐに解消されました。交代しながら、おひとりずつ作業を行うのですが、同じ作業の2週目になれば、皆さんが慣れた手つきで電動工具を使っています。やってみて、人の作業をみて、また自分で行うと格段に上手くなるものです。

用意した木と同じように、削り方にも個性があってその表現方法にも面白さを感じます。そして、皆さんの集中している様子と上手く出来た時の笑顔がとても印象的でした。そしてここが、僕が大工でありたいもう1つの理由なんです。それが、ものづくりの楽しさが伝わった時の笑顔を見られることなんです。この笑顔は、一緒に作業をしていないと感じることができないものだと思っています。

ランチタイム

ワークショップを終えて、出来上がった木製プレートを水洗いした後は、いよいよランチタイムです。

プレートの上には、お施主様であるfantenmanten(ファンテン マンテン)さんがお料理を盛り付けしてくださいました。

盛り付けが終わるまでの間は、建物の構造で大切にしている、高気密高断熱と耐震等級3の家づくりについて参加者の皆さんにお話をさせていただきました。現場は、羊毛断熱材が見えている状態でしたので見渡す限り羊毛です。

「こんなに大量な羊の毛がどこから来るのですか?」と参加者さんが驚かれていました。

お料理の盛り付けも完了したところでテーブルを囲ってランチのスタートです。ご自身でつくられた木製プレートに彩り豊かなお料理が並び、会話をしながら美味しくいただけるこの時間は何にも変えられないヒトトキであることを感じました。

このようなことが実現できたのも、fanten manten(ファンテン マンテン)さんが、企画のご提案から様々なご協力をしていただけたからです。そして、このイベントに興味をもっていただき参加してくださったお客様にも心から感謝しております。

ありがとうございました。

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中澤建設は群馬県高崎市で高気密高断熱、許容応力度計算による耐震等級3を基本に、新築、リフォーム、リノベーション、店舗等をトータルで設計施工しています。山に囲まれた倉渕町で自然乾燥木材を使った地球環境に優しい安心安全な家づくりをしている創業50年の大工工務店です。

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構造見学会

日時 5月17日(土)

10時〜16時

場所 高崎市下佐野町

 ※詳細はご予約時にお伝えさせていただきます。

定員 午後枠1組様(1組様1〜3名程度)

ファンテンマンテンのお弁当 1500円

(ご希望される方)