こんばんわ!
中澤やすゆきです!
僕が建築の世界に携わり、
大工の修行をはじめてから、
今年で18年、お仕事をさせていただいております。
まだまだ経験年数も少ないので、
自分が作業した建物を改修するような経験は未だありません。
リフォームやリノベーションにお伺いする建物は、以前に中澤建設でつくらせていただいたOB様や改修工事をきっかけにお会いするお客様もいらっしゃいます。
直す為の解体などをしていますと、
昔の大工さんが残した
いろいろな仕事を見ることができます。
「これ、よくつくったな〜」とか、
「粋な木の使い方するな〜」とか、
「これじゃ、木が腐っちゃうな〜」
とか、いろんな観察が出来ますので
とてもいい勉強にもなります。
先日も新築に伴い、この冬に解体を予定しております、お客様のところへお伺いしました。
このお客様は、屋号が“蚕屋“と呼ばれております。つい20年前までは、この地域で唯一養蚕をされていたお宅です。
1階が住まいになっていて、2階で
お蚕さまを飼っていました。
お蚕さまの住まいだった場所は、
合掌造りになっていて、
それはそれはかっこよく、
美しい木組みです。
合掌造りは、修行時代に行っていた大工の訓練校の授業でつくりましたが、
実戦経験のない僕は、
「どうやって組立るんだろう、
すごいなぁ」と感心ばかりしてしまいます。
建物の中央部には、太い丸太が立っています。これは1階にある大黒柱がそのまま一本で続いて屋根まで伸びている、欅(ケヤキ)の通し柱です。
1階部分は角材になっていますが、
2階部分は、手斧(ちょうな)仕上げの丸太のままです。
これをつくった当時は、今と違い機械もなかったことを聞きますので、眺めていると、職人の技術と魂が伝わってきます。
これだけ見ると解体することが、もったいなく感じてしまいますが、
かっこいいだけではいけません。
建物全体の状態を考えますと、
手を加え、直したとしても、
地震などの災害が発生した時に、お客様の大切な命を守ることが難しいと判断して、建物を解体することになりました。
この家への感謝の気持ちと
建物の解体、家の中を片付けること
周囲の樹木を伐採しますので、
お客様には、神主さんにご祈祷をしていただくことをお願いしました。
ご祈祷していただくのは、
中澤建設でいつもお世話になっております、小祝神社の西園さんです。
「家には、今まで住んでいた方々の想いがたくさんあるから、感謝の気持ちを込めて、
お人形には、人間と同じように魂がありますので、御魂抜(おみたまぬき)を
樹木には魂が宿っているから、
ひとつひとつ丁寧にご祈祷することが大切なことなんだよ」
これは、西園さんに教えていただいたことです。
人の手によってつくられ、
生まれてきたもの、育てられたものには、
必ず命が宿ることを感じます。
でもそれが永遠ではないことも
当然のことです。
それならば、教えていただいた通り、丁寧に向き合うことが礼儀なのではないかと思います。
ご祈祷が始まる直前に、この時期には珍しい、
“黄色いチョウチョ“が飛んできました。
「おじいちゃんが見に来たんだね」と
お施主様がおっしゃっていました。
そんな風に思える気持ちが素敵ですね😊
通しの大黒柱は、そのままの状態で
取り外してもらうように、解体屋さんに頼むことにしました。
かつて、この家を建てた時のお施主様と大工さんの想いを受け継ぎ、
中澤建設の魂を込めて、
家づくりをしたいと思います。